『前回のおさらい』
前回は、我国が人類史上最高の超超高齢国家であることを、様々な数字や他国との比較をしながら説明しました。今回は、前回の予告通り、超高齢国家の必然の産物ともいえる、認知症に関してお話しします。私はここ数年、仕事とは別に、この問題を追い続けております。家族信託のお仕事をさせて頂く切っ掛けも、他の方とは異なり、自身の仕事の延長や、学問的興味からではなく、認知症の実態を知ることに端を発しています。皆様にも、今後の備えのために、認知症に関する正しい知識を持っていただきたいと思います(何回かに分けてお話しします)。
『看過できない認知症の実態 その1』
2012年、厚生労働省の発表を新聞各社が大きく取り上げました。私はこの時の驚きを今でも鮮明に覚えています。我が国の認知症患者数は、462万人で、MCI期(軽度認知障害)も約400万人に達するという報道だったのです。
ちなみにその後、2015年の厚労省発表では認知症患者数は525万人となっています。更に2017年の厚労省の予測では、2025年には730万人、同30年に830万人、同50年には1,000万人と確実にかつ加速度的に増加するとしているのです。
認知症に関心を持ってから、2014年・2015年あたりでは、多くの臨床医や研究者の方達とお会いし、お話を伺いました。認知症の分野では高名なある臨床医の方から『私の実感では、既に日本においてMICも含めると人口の1割近くが認知症と言っても過言ではないですよ、村木さん』と言われたのが2016年だったかと記憶しています。この様に、一般の方が思っている以上に認知症患者は存在し、このまま放置し続けるならば、更に増加するとされているのです。
ただでさえ、出生率の低下で若年人口は減少し続け、生産労働人口は減少しています。一方で、寿命が延びたのは誇るべき現象かもしれませんが、高齢化率は前回お話ししました様に2050年には40%になると推計されているのです。つまり、国民の4割が高齢者で、その4分の1が認知症患者(若年性の認知症の方もおりますが)と言う事態になりかねないのです。“これでは、我日本は国家としての存続さえ危ぶまれる”これが、2012年の報道以降現在まで、私が一貫して抱き続けている危機感なのです。
『まとめと次会の予告』
今日で、認知症が国家おも崩壊させかねない問題であることは理解いただけたかと思います。次回以降、そもそも認知症とは何なのか?、発症のメカニズム、対処方法、国の取り組み等を取り上げてお話ししたいと思います。ご期待ください。
一般社団法人 中小企業信託アドバイザー協議会
理事 副代表 村木宏彰
村木宏彰
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