家族信託(民事信託)が注目を浴びつつある理由


 

『はじめに』

 初めまして、一般社団法人 中小企業信託アドバイザー協議会 理事副代表の村木です。私たちはかれこれ3年近くに渡り、家族信託について取り組んでまいりました。当初は、専門家の間でさえ、家族信託の存在を知らない方が多数でした。当然、相続や事業承継の実務に関与しない一般の方達には、ほとんど認知されておりませんでした。ところがここにきて、当社団や、メンバーであるの専門家に対する問い合わせを含め、家族信託が多少なりとも普及してきているように思えます。

『家族信託が認知された背景』

 家族信託が注目を浴び、ニーズが出てきた一番の原因は、“超高齢超少子社会”とそこから派生する様々な問題・課題があります。ちなみに、私は高齢化とか少子化と言う言葉は使いません。ある時、その道の専門家の方より『村木さん。“化”と言うのは、変化しつつある状況を言うのであって、日本はすでに過去世界中に例を見ない、“超”の付く高齢・少子国家になっているんですよ』とのご指摘を受けたのです。その言葉に得心して以来、“高齢化”・“少子化”なる言葉は、ここに至るまで現状を放置した、政治家や役人の逃げ口上のように聞こえてならないのです。
 話は少しそれてしまいましたが、超高齢・超少子社会になり、様々な問題が生じ、加えてそれが特殊なものではなく、広く皆さんの周りで起こることになりました。例えば、親や配偶者の認知症の問題。例えば、核家族化から実家が空家になる心配(ないし既に空家になっている)。高齢者同士の再婚の問題。お墓の問題。残されるペットの問題等々枚挙にいとまがありません。
 これらの諸問題に対し、従前の民法その他による法制度では十分に対応できず、かつ家族信託がより良い解決手段足り得ることが理解されるに至り、注目を浴びてきたと言えるのです。

『次回よりの予告』

 私のコラムにおきましては、次回より、日本の人口動態、平均寿命・国民平均年齢の推移と他国との比較、認知症、高齢者婚の実情、空家問題等、家族信託を必要とさせている社会の諸問題について取り上げて参ります。
ご期待ください。


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村木宏彰

村木宏彰

行政書士・保護司・一級土木施工管理技士。(株)古川土木 代表取締役・(株)ヨシミ 監査役・(一社)北海道シニアビジネス支援機構 専務理事・(株)秋田新産線材 監査役・学校法人北野学園監事その他製造業、飲食業を中心に顧門、相談役数社。 塾・予備校・専門学校の講師を経て、札幌の建設会社で役員。その後東京の財務系経営コンサルタント会社の役員。並行し行政書士事務所設立し、数社の役員に就任。

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