『おさらい』
前回、家族信託が近年注目を浴びつつある理由として、日本の人口動態・平均寿命の変化、それに伴う認知症患者の増加、高齢者婚の増加、空家問題等があることを指摘いたしました。今回は、このうち日本人の人口・平均年齢にスポットを当ててお話ししたいと思います。
『日本人の人口動態ほか』
まずは我が国における人口の推移についてみて見ましょう。平成23年の国土審議会政策部会長期展望委員会の発表によると以下の通りです。
鎌倉幕府成立時(1192年)で757万人、江戸幕府成立時(1603年)で1,227万人、、明治維新(1868年)で3,330万人、終戦時(1945年)で7,199万人、2004年のピーク時で12,784万人となっています。戦国の世が終わった江戸時代に、人口が約3倍となり、明治から140年弱の間に、医学の進歩もあり4倍弱と人口が飛躍的に増えている事が判ります。因みにこのまま出生率に改善が見られなければ、2050年に日本の総人口は1億人を割ると予測されております。加えて、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は、最低値を記録した1935年に4,7%でしたが、人口ピーク時の2004年には19,6%、2050年にはほぼ40%になると予測されているのです。
次に、国民の平均年齢についてみてみましょう。2013年のWHOの報告によりますと、世界の平均年齢は28,2歳、アフリカのニジェールではなんと15歳だと言う事です。いわゆる発展途上国は軒並み平均年齢が20歳以下のようです。最近発展が著しい東南アジア各国を見てみますと、ベトナムが29,8歳、ミャンマーで27,8歳とのことです。近隣の国では、韓国が39,4歳、中国は37,4歳です。
翻って我が国は、皆さんもご想像の通り、世界最高齢の45,9歳(2位がドイツの45,5歳)です。
平均寿命を見ましても、2017年の統計で日本人は男性が、81,09歳、女性は87,26歳(参考までにアメリカを見てみますと、2015年の統計ではありますが、女性でほぼ81歳、男性は76歳です)となっています。
なお、日本においても58年前の1960年では、平均寿命は男性で65,32歳、女性が70,19歳でありました。半世紀強で15歳以上も寿命が伸びているのです。
『まとめと次会の予告』
ここまでで、わが国がいかに“超高齢国家”(繰返ますが高齢化ではありません)であるかご理解いただけたものと思われます。人類の歴史上例を見ない現象なのです。
このことが、わが国に様々な影響を及ぼしているわけですが、次回はそのうち、認知症の問題を中心に取り上げたいと思います。ご期待ください。
一般社団 中小企業信託アドバイザー協議会 理事副代表 村木宏彰
村木宏彰
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