【実家と家族信託について(その2)】


【空家対策と家族信託】

 前回は、もしもご両親が認知症になったら実家は。。。というお話をさせていただきました。では、ご両親が亡くなった後、実家を売却する必要が出てきた場合は、どうでしょうか。

【相続と争族】

 実家だけではなく、その他の財産もそうですが、その持ち主が死亡した場合、相続が発生します。両親の亡くなった後、誰も実家に住まずに売却するとしても、相続の手続きを省略することはできません。もし何も対策をしていなければ、この相続の手続きは、相続人全員で話し合いをする必要がありますが、揉めてしまって、なかなかまとまらない、いわゆる争族になることが少なからずあるのです。
 こう言うと、うちは兄弟仲がいいから大丈夫、という答えがよく返ってきます。でも、そうではないのです。自分は親の面倒を見ていないから何もいらないと言っていたはずの兄弟が、実際に話し合いの段階になると、自分の権利を主張するということも珍しくないのです。
 繰り返しになりますが、何も対策をしていなければ、相続人全員の同意がなければ、相続手続きを進めることはできません。取り分でもめて、何年間も実家を空家のまま放置せざるを得ないケースや、裁判にまで発展してしまうケースもあります。
でも、ご両親が元気なうちに、実家の管理を誰に任せたい、とか、自分の亡くなった後は、実家を誰に譲りたい、ということを明確にしておくことによって、無駄な争いを避けることができます。それが可能なのが家族信託という制度なのです。
家族信託は、大切なご家族が、もめ事に巻き込まれないようにするのにとても適した制度です。ただし、家族信託には思わぬ落とし穴があることもありますので、必ず、信託に詳しい専門家にご相談の上、ご利用くださいね。


The following two tabs change content below.
鈴木郁子

鈴木郁子

司法書士。電機メーカーを出産のために退職し、専業主婦となる。 その後、宅地建物取引士、行政書士、司法書士の資格を取得し、 末の子供が小学校高学年になった2006年に、司法書士として社会復帰。  

コメント

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA