当サイトをご覧の皆様,初めまして。
弁護士の阿部竜司(あべ りゅうじ)と申します。
私が家族信託という新たな制度に注目し,お客様に積極的にご紹介したいと思ったのは,「争い事のない社会を創造する」という自分のミッション(使命)の実現に,非常に効果的な制度であると感じたからです。
私は弁護士として,日々,お客様のお困り事の解決について支援させていただいておりますが,お困り事の大半は,「自分以外の他者との人間関係に起因するトラブル」です。
そして,このトラブルは,親族間や兄弟間等の身内で起きてしまった時ほど,なまじ血縁関係等がある分,余計に根が深いものになってしまうことが少なくありません。特に,お金が絡んでしまうとなおさらです。
では,そのようなトラブルというのは,結局人間同士の問題である以上,予防することはできないのでしょうか?
いえ,そんなことはありません。
人間同士のトラブルであっても,そこには必ず原因となる要素があります。そして,その要素の大半は,「関係する他の当事者の考えていることや,本音を理解できていない」ということに尽きます。
特に,相続や事業承継の場では,財産を保有している方が,誰に,何を,どのように引き継いでもらいたいのか(あるいは,引き継いでもらいたくないのか),自分の持っている財産のうち,お金以外のもの(不動産,自動車,有価証券,高価な物品等々)について,どのように取り扱ってもらいたいのか,といった事柄に関して,お考えやご意向が何も示されないままに亡くなってしまうことが少なくありません。その結果,『故人の意向』という最も重要な情報が不明確となり,遺族それぞれが自分の考えを他の当事者に主張しあい,意見が分かれてしまって,争い事になってしまうという事態に発展してしまうのです。
このような事態の予防方法としては,これまでは遺言が比較的よく知られた手段であったと思われます。ところが,遺言は,どうしても『自分の死』という重い将来を想起させてしまうため,書くことに躊躇を覚える方も少なくありません。
また,遺言は,あくまで亡くなった後の財産の相続方法に関する意思を示すことしかできませんので,お元気なうちに不動産等の管理や自社の経営の大半を子供たちに任せて余生をのんびり過ごしたいとか,あるいは,自分がもっと高齢になって,1人ではいろいろと面倒な財産の管理・処分に関する事務に対応しづらくなる可能性があるので,そのような将来の事態に備えておきたいというようなニーズに対して,遺言は有力な手段にはなりえません。
これに対して,家族信託は,現在の財産管理・処分に関して,(将来の財産承継も見据えつつ)信頼できる家族に任せて,心配事や面倒事をなくすという効果がありますので,「死後の備え」ではなく,財産を保有されている方が「今後の人生を安心して楽しく暮らしていくための備え」ということができます。
また,遺言は,書き方等についても厳密なルールがあり,内容についても原則として「遺産の分け方」に関する事柄しか書けません。これに対して,家族信託は,ご本人とご家族との契約行為なので,双方がきちんと納得してさえいれば,契約内容をかなり自由に設計することができます。そのため,財産をお持ちの方の様々な要望や意向を反映することが可能となります。
このような家族信託がなされていれば,財産を保有されている方の意向は明確になり,相続や事業承継の場面でも,「本人の考えや意向が不明確」であることに起因するトラブルが起きる可能性は大幅に減少します。
私は,家族信託が広がることで,親族間の相続問題やお金にまつわるトラブルは激減すると確信しています。
今後の人生における心配事や不安要素をなくしておきたい方,高齢の親御さんの余生を安心かつ満ち足りたものにしてあげたいと考える方などは,財産の多い・少ないにかかわらず,ぜひ一度ご相談ください。
阿部 竜司
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- 争い事が起きるのはなぜか - 2018年10月18日